【レポート】2019年マツリズムが訪問した日本各地の「海の祭」
2020.02.28
2019年マツリズムは、日本各地の海の祭の歴史と現在の魅力を発信して盛り上げるため、海にまつわる祭りを訪れ参加や取材をさせていただき、レポートを作成しました。
・とも旗祭り(石川県) ・ホーランエンヤ(島根県) ・厳島神社例大祭(北海道)
・土崎神明社祭(秋田県)・姥神大神宮例大祭(北海道)・琴浦精霊船行事(新潟県)
・黒島天領祭(石川県) ・坂越の船祭り(兵庫県) ・三谷祭(愛知県)
◆とも旗祭り:石川県能登町
石川県能登町の小木漁港にて毎年5月に行われる御船神社の春の例大祭「とも旗祭り」。豊漁祈願・海上安全を願い、約800枚の紙を継いだのぼり旗を立てた船9隻が小木港周辺を勇壮に巡航します。
800枚の紙旗と地域の誇りを海に高らかに掲げる
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/1.html
とも旗祭りは、石川県能登町の小木漁港にて行われる御船神社の春の例大祭。豊漁祈願・海上安全を願います。約800枚の紙を継いだのぼり旗(全長30m)を立てた9町会の9隻が小木港周辺を巡航。スルメイカ漁等が盛んな能登ならではの海の祭りですが、近年は漁業が衰退し、地域から若者も少なくなっているとのこと。今回は、実際に祭りに参加しながら、これからの祭りを担う地域の方や高校生たちに話を聞いてみました。
◆ホーランエンヤ:島根県松江市
10年に一度開催される松江城山稲荷神社の式年神幸祭「ホーランエンヤ」。2019年は5月18日に渡御祭が行われました。松江城の中にある稲荷神社からご神霊を乗せた神輿が出て、絢爛豪華な100隻の警護の船団に彩られ、阿太加夜神社まで船で渡り7日間の祈祷が行われます。
城下町に現れる絢爛豪華な水上アリーナは10年先を常に見据える
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/2.html
ホーランエンヤは、10年に1度行われる松江城山稲荷神社の式年神幸祭の通称。国宝の松江城の中にある稲荷神社からご神霊を神輿に乗せ、大橋川、意宇川を船で渡り、阿太加夜神社へと運び、そこで七日間の大祈祷を行う壮大なお祭りです。中でもご神霊を警護する絢爛豪華な100隻を越す船団を目当てに川沿いは多くの人出で賑わう。今回は渡御祭の模様のレポートに加え、ご神霊を警護する五大地の中でも誉れ高い「い一(いのいち)」馬潟櫂伝馬の矢田浩総代長にお話を伺った。
◆礼文島厳島神社例大祭:北海道礼文町
毎年7月に香深地区で行われる「厳島神社例大祭」。北前船交易により栄えた礼文島のルーツを感じる事ができる漁師のお祭りで、ニシン漁の作業唄を唄いながら神輿を担いで練り歩き、掛け声に合わせ威勢よく神輿を宙に放り上げます。
最北の島の漁師の祭り、昔と今を繋ぐ想い
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/3.html
日本最北の島、礼文島。現在は、漁業と花の島として夏には多くの観光客も訪れますが、そのルーツは北前船交易による繁栄にあります。礼文島はニシン漁やリシリコンブ漁に恵まれた漁場をもち、そのために東北地方などから漁民たちが移り住み、島での生活空間を築いていきました。毎年7月14・15・16日に行われる厳島神社例大祭は、そうした礼文島のルーツが感じられる漁師のお祭りです。有名な「ソーラン節」にも繋がる沖上げ音頭と呼ばれるニシン漁の作業唄を唄いながら神輿を担ぎ集落内を練り歩き、神様の前では掛け声に合わせて神輿を...
◆土崎神明社祭の曳山行事:秋田県秋田市
毎年7月20、21日に土崎地区で行われる「土崎神明社祭の曳山行事」。1620年から土崎の人々に親しまれてきた歴史あるお祭りで、国の重要無形民俗文化財・ユネスコ無形文化遺産でもあります。2019年は全30台の曳山が市内を練り歩きました。
「祭りは生き方」伝統を受け継ぎ共に力をつけていく
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/4.html
土崎神明社祭の曳山行事(以下、「土崎港曳山まつり」「祭り」)は、1620年から土崎神明社の例祭として土崎(秋田県秋田市)の方々に親しまれてきたお祭りです。今年は全30台の曳山が市内を練り歩きました。国の重要無形民俗文化財に指定され、2016年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。今回は土崎市出身で今は都心で暮らす安田龍平さんと、その幼馴染で土崎市で暮らす森澤哲也さんにお世話になり、お祭りへ参加しながら、まちの様々な側面に触れさせていただきました。
◆姥神大神宮渡御祭:北海道江差町
毎年8月9,10,11日に開催される「姥神大神宮渡御祭」。北前船交易を通じて京都の祇園祭から強い影響を受けて始まった、北海道最古のお祭りと言われています。
江差の1年はこの日のために 祭りがつくるまちの団欒
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/5.html
北海道江差町で毎年8月9,10,11日に開催される姥神大神宮渡御祭は、北前船によりもたらされた京都の祇園祭に強い影響を受け始まった370余年の歴史をもち、北海道で最も古い祭りとされています。今回は丸3日間、お祭りに参加させていただきながら、様々な立場で携わる方々とお話しさせていただきました。豪華絢爛・盛大なお祭りに携わる人たちの存在にも触れながらその魅力をお伝えできればと思います。
◆琴浦精霊船行事:新潟県佐渡市
毎年8月に琴浦地区にて行われている盆行事「琴浦精霊船行事」。精霊迎えの舟を「あのひのごんせん」、精霊送りの舟を「このひのごんせん」と呼び、竹と藁で作った舟に火をつけ子供達が一緒に海を渡りご先祖様を送迎します。
生者と共に精霊が海を泳ぐ日
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/6.html
「琴浦精霊船行事」は新潟県佐渡市の無形文化財で、琴浦地区で毎年行われている盆行事です。8月13日に海を渡って精霊をお迎えにいく舟を「あのひのごんせん」、8月16日に精霊をお送りする舟を「このひのごんせん」といいます。昭和16年の太平洋戦争以前より80年以上続いており、戦後はご先祖様の送迎としてだけでなく戦争犠牲者の慰霊のためにも行われています。今回は、舟造りから「あのひのごんせん」が精霊をお迎えに行くまで見学させていただき、これまでこの行事を守ってきた方、これからを担っていく若者達に話を聞いてきました。
◆黒島天領祭:石川県輪島市
毎年8月17,18日に黒島地区にて行われる大きな山車のお祭り「黒島天領祭」。黒島町はかつて幕府の直轄領である「天領」だったため、街は誇り高く、お祭りも独特な雰囲気を醸し出しています。
瀟洒!風雅!誇り高い天領のまちが”完成する”日
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/7.html
「黒島天領祭」は、石川県輪島市門前町、黒島町地区のお祭りです。”キリコ”と呼ばれる巨大な灯籠のお祭りが多い能登半島ですが、天領祭はあくまで大きな山車「曳山(ひきやま)」のお祭り。下見板張りの家々が立ち並び、重要伝統的建造物群保存地区の指定もある街並みを、名古屋城・大阪城をモチーフにした2基の曳山が2日間巡行します。曳山とともに見物なのは、曳山の後方で、掛け声とともに必死に舵取りをする若衆の迫力。また、曳山を先導する獅子や奴、御神輿もお祭りに華を添えます。黒島町は、かつて幕府の直轄領である「天領...
◆坂越の船祭り:兵庫県赤穂市
毎年10月第2日曜日に坂越にて行われる大避神社秋の祭礼「坂越の船祭り」。神輿が浜辺へ運ばれ、海からは手漕ぎの和船「櫂伝馬(かいてんま)」が先導し、船に乗った神輿は湾内を巡航した後、普段は立ち入り禁止の生島(いきしま)の御旅所へ。櫂伝馬の渡し板をユーモラスにかける「バタかけ」が人気です。
「赤穂の塩」を全国津々浦々へ送り出した良港が伝える歴史と心意気
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/8.html
坂越の船祭りは、兵庫県赤穂市坂越(さこし)にある大避(おおさけ)神社の秋の祭礼。2012年に国の重要無形民俗文化財に指定。毎年10月の第2日曜日に行われます。小高い山の中腹にあって、海を望む大避神社。獅子舞を露払いに、氏子を代表する「頭人(とうにん)」らが付き従い、神輿が浜辺へ運ばれます。神輿を船に移し替える際に浜から船へ渡すバタ板を使って場を賑やかす「バタかけ」は非常に人気があります。そして、海からは手漕ぎの和船「櫂伝馬(かいてんま)」が先導し、神輿は船に乗り、湾内を巡航したしたのち、普段は立ち入...
◆三谷祭:愛知県蒲郡市
毎年10月に三谷町で行われる、八剱神社・若宮八幡神社の例大祭「三谷祭」。絢爛豪華な4基の山車(やま)がお社を行き来し、お祭り2日目にはこの4基の山車と男衆が海へ入る、勇壮な「海中渡御」が行われます。
まちへの愛と誇りで作り上げる、三谷町のハレの日
http://matsurism.uminohi.jp/report/detail/9.html
愛知県蒲郡市にある三谷町にて、毎年10月の第3または第4土日(潮位による)に開催されるのが三谷祭(みやまつり)八剱神社・若宮八幡神社例大祭です。お祭りでは、約300年前の故事に基づき、「八剱神社」「若宮八幡神社」という二つのお社を行き来します。シンボルはなんといっても、4基の山車(やま)の豪華絢爛さでしょう。特にお祭り2日目には、その4基の山車と男衆が海へ入る「海中渡御(かいちゅうとぎょ)」が披露され、多くの観光客が見物に訪れます。そして、二日間のほとんどを占めるのが、各区によって神前に奉納される...
※この活動は、次世代を担う子供達を対象に海の祭りを通じて海への好奇心を高める日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
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